高血圧の疫学
- 高血圧症とは、くり返しの測定で収縮期血圧が140mmHg以上、あるいは、拡張期血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。
- 高血圧は動脈硬化を引き起こし、脳出血や脳梗塞、大動脈瘤、腎硬化症、心筋梗塞、眼底出血などの原因となります。また、心臓は高い血圧にうち勝つために無理をすることになり、心臓肥大が起こり、心不全になることもあります。
- 日本の高血圧者は、約4000万人いると推測されています。
- 高血圧で、脳卒中(脳梗塞や脳出血)及び冠動脈疾患(心筋梗塞など)のリスクが高くなります。
- 収縮期圧が10mmHg低下すると、脳卒中は30%、虚血性心疾患は20%減少すると言われていいます。
血圧目標
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
---|---|---|
若年者・中年者 | 130/85mmHg未満 | 125/80mmHg未満 |
高齢者 | 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
糖尿病患者 慢性腎臓病患者 心筋梗塞後患者 |
130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
脳梗塞後患者 | 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
生活習慣の修正
- 日本国民の食塩摂取量は1日11g程度で、減塩目標は食塩6g/日未満です。
- 減塩1g/日ごとに収縮期圧が約1mmHg減少すると言われています。
- 体重を減らすことも大切で、BMI 25未満が目標となります。(体重4-5kgの減量で有意な降圧をもたらす。)
- 野菜、果物を積極的に摂取し、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えること、また魚の積極的摂取も推奨されます。
- 中等度の強さの有酸素運動を中心に定期的(毎日30分以上を目標に)に行うことが大切です。
- 喫煙は心血管の強力なリスクであり、一部で高血圧への影響も指摘されているので、喫煙の防止に努めることが重要です。
- 節酒:エタノール換算で男性20-30ml/日以下、
女性10-20ml/日以下に節酒することが勧められます。
お酒の1単位(純アルコールにして20ml)
ビール | (アルコール度数5度)なら | 中びん1本 | 500ml |
---|---|---|---|
日本酒 | (アルコール度数15度)なら | 1合 | 180ml |
焼酎 | (アルコール度数25度)なら | 0.6合 | 約110ml |
ウイスキー | (アルコール度数43度)なら | ダブル1杯 | 60ml |
ワイン | (アルコール度数14度)なら | 1/4本 | 約180ml |
缶チューハイ | (アルコール度数5度)なら | 1.5缶 | 約520ml |
家庭血圧測定が大切
人によっては診察室では緊張して血圧が高くなりますが普段は正常な血圧である人(白衣高血圧)、逆に普段血圧が高いのに診察室では正常な血圧の人(仮面高血圧)もいます。
このため、家庭血圧を測定・記録して主治医に見せていただくことが、高血圧治療では大変重要となります。
家庭血圧の測定方法としては
家庭血圧の目標値
収縮期圧 135mmHg以下
拡張期圧 85mmHg以下
このため、家庭血圧を測定・記録して主治医に見せていただくことが、高血圧治療では大変重要となります。
家庭血圧の測定方法としては
①朝 | ②夜 |
---|---|
起床後1時間以内 排尿後 座位1-2分の安静後 降圧薬服用前 朝食前 |
就床前 座位1-2分の安静後 * 指示により:夕食前、夕の服薬前、入浴前、飲酒前など |
家庭血圧の目標値
収縮期圧 135mmHg以下
拡張期圧 85mmHg以下
降圧治療
食事や運動、体重コントロールなどでの血圧が高い方は、内服治療で血圧をコントロールすることで脳出血などの脳血管障害や心筋梗塞などの発症を予防することが大切です。
・ 降圧薬は1日1回投与が原則ですが、状況により多剤併用、1日2回投与となります。
①カルシウム(Ca)拮抗薬
②アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
③アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
④利尿薬
⑤β遮断薬
⑥α遮断薬
⑦交感神経抑制薬
⑧血管拡張剤
・ 降圧薬は1日1回投与が原則ですが、状況により多剤併用、1日2回投与となります。
①カルシウム(Ca)拮抗薬
②アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
③アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
④利尿薬
⑤β遮断薬
⑥α遮断薬
⑦交感神経抑制薬
⑧血管拡張剤